選手代表挨拶


私のことをご存じの皆さん、ご無沙汰しております。ご存じない方、あるいは名前くらいは聞いたことがあるけど、という方々、はじめまして。渡辺と申します。

このたび、オンラインチェスオリンピアードに参加することになりました。2014年のオリンピアードのあとに引退宣言をして以来、初めての国際大会となりますが、最初から参加しようと考えていたわけではありません。7月はじめのヒーバートさんからの会員へのメールを見て、「選手が集まるといいですね」というお返事を差し上げたところ、Tuさん、星野さん姉妹、そして二人のジュニアの選手が手を上げているが、まだ枠があるので暁さんも思い切って出ませんか、というお返事を頂き、それでは、ということでメンバーに入れて頂くことになりました。オープンのメンバーとして私よりふさわしい方がたくさんいるし、私でいいのかな、という気持ちもありますが、せっかくの機会ですのでそういうことは忘れて、若い皆さんをサポートしながら、自分も楽しくチェスを指すことができたら、と思っています。

選手の顔ぶれですが、女子・オープンともに、私以外は選手にふさわしい面々がそろったと思います。チームの雰囲気はすばらしく、すでに二度ほどZoomで会議をして、選手同士で練習をやったりしていますが、これから本番まで、さらにトレーニングをしていく予定です。私にとってはそうした皆さんとのやりとりがとてもはげみになっていますし、今回の大会のあとも、何らかの形で私の経験を、今回の選手の皆さん、そしてもちろん、私の話に関心を持ってくれそうな若い世代の皆さんに、お伝えしていけたらと思っています。

NCSの皆さんにはチームの編成に際してお骨折り頂いたのに加えて、こんな応援サイトまで作って頂いて、とても感謝しています。ただ、私は「レジェンド」でもなんでもない、ただ昔ちょっと一時期チェスを一生懸命やっていただけの人間で、ましてやこんなプレイヤーを「教科書」にしても全くお手本にはなりませんので、そこに関しては「訂正」をお願いしたい、と思います。(と、一応申し上げておきます。)

オンラインのオリンピアード、はじめての試みですし、もしかするとオンラインゆえのトラブルもあるかもしれません。また、早指しですし、さぞかしミスも多くなると思います。しかしそのような中でも、時間をうまく使って、楽しく自分たちらしい指し方ができれば、勝敗はともかく、選手ひとりひとりにとって実り多い大会になるのではないか、と思っています。

最後に、私事になりますが、今年の4月から東京工業大学でスペイン語を教えることになりました。これまでの職場では、自分からチェスのことは話さないようにしてきましたが、東工大ではスペイン語以外にもさまざまなリベラルアーツ科目を担当することもあり、チェスのこともオープンにすることにしました。(もしかするとチェスを科目として教えることになるかもしれません。)そんな記念すべき年に、このような大会に出ることになり、若い皆さんとの交流の機会を頂いて、とても嬉しく思っています。

今回の日本チーム、温かく見守って頂きますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

202081

勝手に選手一同を代表して

渡辺 暁