1.国内レーティングの目的
(1) 国内公式戦(以下「公式戦」)で対局するプレーヤーの実力を適切に数値化する
(2) 大会でのスタート順位決定、国内タイトル授与、代表選手選考等の資料とする
2.国内レーティングの種類
(1) 日本チェス連盟(以下「連盟」)はスタンダードとラピッドの2種類のレーティングを発行し、計算する
(2) 60手到達時点の持ち時間(注1)が1人45分以上となる対局をスタンダード、10分以上45分未満となる対局をラピッドとし、10分未満の対局はレーティング計算を行わない
3.計算対象となる対局
(1) 国内レーティングは公式戦での対局結果を反映する
(2) 公式戦には大会と例会の2種類の形式があり、大会とはスイス式、ラウンドロビン等の方式で組み合わせを行い、順位を決めることを目的として対局が行われる会を指す。例会とはそれ以外の会を指す
(3) 公式戦を開催できるのは連盟、公認クラブ、あるいは学生チェス連盟加盟サークルであり、連盟年会員が公正に運営しなければならない
(4) 公式戦を開催する場合は、開催5日前までに連盟に開催を申請しなければならない。また、主催者は要項等に公式戦であることとレーティングの種類を明記しなければならない
(5) 計算対象となるのは対局時に会員資格が有効な連盟年会員同士の対局のみとする
(6) 連盟は原則毎月1日に新しいレーティングリストを発表し、前々月の21日から前月の20日までに報告された対局を計算対象とする(注2)
(7) 当該公式戦最終日から3か月(注3)を超えて報告された対局は計算対象とならない場合がある
(8) 公正な運営でない等、公式戦として不適切であると連盟が判断する対局は計算対象とならない場合がある
4.報告の方法
(1) 主催者は開催したすべての公式戦の対局を連盟に報告しなければならない
(2) 公式戦終了後、3.(7)に定める算入期間内に結果を報告するよう努め、報告者は公式戦主催者か主催者が認めた連盟年会員とする
(3) 結果報告には以下のa, b, c, dを明記すること
a) イベント名、開催日程、主催者、持ち時間、レーティングの種類
b) 対局者氏名(注4)、連盟ID
c) 白番氏名、黒番氏名、対局結果
d) 非会員の対局者の人数
(4) 報告には連盟が提供する「レーティング報告フォーム」の最新版を使用すること。ただしペアリングソフトSwiss-Managerを使用した場合、Chess-Results.comに対局結果をアップロードし、連盟にそのURLを連絡することで結果報告とすることができる
(5) 報告はメールで行い、宛先はjapanchess.rating@gmail.comとすること
5.レーティングの計算方法
(1) 1局ごとに以下の式を用いてレーティングの増減値Cを計算する:
C = (R-PD)*K
- Rは自身の得点で、勝った対局の場合1、ドローの場合0.5、負けの場合0とする
- PDは得点の期待値で、相手とのレーティング差から下表1より与えられる。相手よりレーティングが高い場合はH列、低い場合はL列を参照する。レーティング差が400以上の場合はすべて400として計算する
- Kは変動係数で通常は20とする
- 国内公式戦の通算対局数が30局未満の場合は40とする
- 19歳未満かつ2000以上になったことがない場合は40とする。年齢はその年の1月1日時点での年齢を参照する
- 2400以上になったことがある場合は10とする
- 不戦勝や不戦敗の場合や、相手がURの場合はC = 0とし、通算対局数には含めない
(2) 算入期間内のすべての対局での増減値Cを合計し、小数点以下を四捨五入して算入時のレーティングに加えたものを新レーティングとする
(3) 国内レーティングの下限は1000とし、新レーティングがこれを下回る計算結果になった場合は1000のままとする
6.初期レーティングの決定
(1) 初めて連盟に入会した時点でFIDEレーティングがある場合はそれを引き継ぐ。FIDEスタンダードレーティングは国内スタンダードレーティングに、FIDEラピッドレーティングは国内ラピッドレーティングに引き継がれる
(2) スタンダードとラピッドいずれかのレーティングが決まらない場合は、決まらない方のレーティングが初めて計算される時点での既に決定したレーティングを引き継ぐ
(3) (1)、(2)でもレーティングが決まらない者をURとする。直近の2年間でレーティングを持つ相手との通算対局数が初めて6以上になった算入期間に、その対局結果からパフォーマンスレーティングを計算し、それを初期レーティングとする。ただし対局結果が全勝または全敗である場合は、通算対局数が6以上になっていたとしても、初めて全勝または全敗でなくなった算入期間にパフォーマンスレーティングの計算を行う
(4) パフォーマンスレーティングPRは以下の式で計算する:
PR = RA+dp
- RAは対戦相手の平均レーティング
- dpは算入される対局における得点率pに応じて、下表2より与えられる
7.その他
(1) 公式戦主催者は個人情報の取り扱いについて最大限の注意を払わなければならない
(2) 本規程で定められていない事案は、FIDEのレーティング規程を参照し、連盟レーティング部が協議し対応を決定する
(3) 発表されたレーティングの誤りを指摘された場合、連盟は再計算を行い正しいレーティングリストを発表する。ただし、指摘を受けた日から90日以上前に発表されたレーティングについては再計算を行わない
(4) 本規程の改定は連盟理事会の承認をもって行う
2019年2月5日発行
2019年5月11日改定(6月1日から施行)
2019年8月31日改定(9月1日から施行)
2020年3月31日改定(5月1日から施行)
2021年1月31日改定(2月1日から施行)
2022年8月31日改定(9月1日から施行)
2023年8月1日改定(8月1日から施行)
2024年9月27日改定(10月1日から施行)
(表1)レーティング差と得点の期待値
(表2)得点率とdp
(注1)例えば45分+30秒/手の対局での「60手到達時点の持ち時間」は45+0.5*60=75分
(注2)例えば3月1日に発表するレーティングリストは、1月21日から2月20日までに報告された対局を算入する
(注3)公式戦最終日が1月15日だった場合、4月15日
(注4)報告に記入する氏名はローマ字で姓、名の順とし、間のコンマは省略する