FIDE World Cup 特設ページ

ワールドカップをより身近に!

注目の試合の結果やトピックスをお届けするページです

 

FIDEワールドカップ2023公式サイト

https://worldcup2023.fide.com/

 

8/27 キャンディデイツ出場権、終わりに

 

【各部門キャンディデイト出場権】

オープン部門では、CarlsenがCandidateに出場する意思がないことを表明しました。

したがって、正式に辞退することが決定した場合には、ベスト4に残った3人(Caruana、Pragg、Abasov)がキャンディデイトの出場権を獲得することになるでしょう。これにより、前回の世界チャンピオン戦の挑戦者であるNepomniachtchiを含め、4人の出場権者が決定。残り4枠が誰になるのか、今後も注目してみてください!

女子部門では決勝を戦った2人(Goryachkina、Salimova)と3位のAnnaが女子キャンディデイト出場権を獲得。前回の女子チャンピオン戦の挑戦者であるGM Lei Tingjieらと挑戦権を争うことになります。

 

【終わりに】

オープン部門では、インドの選手の活躍が特に注目を集めました。Praggの準優勝を筆頭に、ベスト8のうち4名をインドの選手が占め、チェス大国の一つであることを証明しました。他方、4位まで昇り詰めたAbasovの躍進は地元に活気を与えたのではないでしょうか。

 

女子部門では準優勝したSalimovaやRoebers Eline(オランダ)といった若手選手の活躍も注目を集めました。SNSを見たところ、彼女らの積極的な指し回しからチェスの楽しさを感じる人もいたようです。Goryachkinaは前回に続く決勝進出で、遂に栄冠を手にしました。

 

ワールドカップは一気に名を馳せるチャンスであるとともに、ノックアウト式のトーナメントという性質上、緊張感のある魅力的な大会です。加えて、内容面では、先日述べたようなマスターの様々な勝負術も見ることができました。プレイスタイルなどを見て、好きな選手を見つけた方は、その選手が参加する世界の大会や棋譜をぜひチェックしてみてください。

 

また、日本から初めてワールドカップに参加したTuさんは、初戦で敗れてしまったものの、世界のビッグトーナメントで新たな一歩を踏み出しました。今回のワールドカップ出場権は、昨年のチェスオリンピアードでの日本チームの成績に由来するものであり、日本チェス界の成長が楽しみです。

直近の日本代表が出場する大会としては、来月のアジア大会があります。加えて、来年は再びオリンピアードも開催予定です。こちらの動向もぜひチェックしてみてください!

 

8/26 オープン部門決勝及び3位決定戦

【決勝カード】

・GM Carlsen Magnus

ノルウェーの選手で、元世界王者のレーティング世界1位(現在唯一の2800点超え)。世界チャンピオン戦を含め数多くの大会で優勝してきましたが、これまでのワールドカップでは最高3位でした。準決勝ではAbasovを下し、満を持して決勝の舞台に登場。

 

・GM Praggnanandhaa R

インドの18歳の選手でレーティング2707(世界29位)。準決勝ではCaruanaをタイブレークで破り、初の決勝進出。大会史上最年少の決勝進出者です。本大会でPraggが世界2位のNakamura(アメリカ)を破った際、ゲーム後にCarlsenがPraggを称えている場面もありましたが、その二人が決勝で戦うことになりました。

 

・1ゲーム目は、Praggの盤上のプレッシャーをかいくぐったCarlsenが黒番でドローを獲得。2ゲーム目は大きな波乱もなくドローになり、翌日のタイブレークへ。一般に、チェスは白番がわずかに有利とされており、特にトップクラスでは黒番でドローをしっかり獲得することは重要なスキルの一つです。

 

・タイブレークの1ゲーム目で、白番のPraggはイタリアン・ゲームという定跡を選択。双方にとって指し慣れた定跡の一つです。当初はPraggが黒のキングにプレッシャーをかけ、技のかかりやすい局面を作りましたが、Carlsenも大きなミスはせず、終盤まで拮抗した展開になりました。Praggの緩手を逃さなかったCarlsenが、2つのナイトを使って白のキングを包囲し、黒番で貴重な勝利。

 

・タイブレークの2ゲーム目は、黒番のPraggがシシリアン・ディフェンスという定跡を選択。勝つ必要がある場面では人気な定跡の一つです。Carlsenはドローを狙うことができ、かつ、黒に暴れるチャンスが少ない局面に誘導しました。このゲームをドローに収め、遂にCarlsenがワールドカップで優勝しました!

 

【3位決定戦】

・GM Caruana Fabiano

アメリカの選手で現在レーティング2782(世界3位)。深い研究に定評があり、2018年には世界チャンピオン戦に出場。最近のハイレベルなラピッド大会では、Carlsenに勝利するなど、充実しています。

 

・GM Gujrathi-Abasov Nijat

今大会で一躍有名になったであろう地元アゼルバイジャンの選手。2700台が名を連ねる中、レーティング2646(97位)でノーシードながら、Giri、Vidit、Svidlerなどの格上の選手を次々と破ってきました。

 

・1ゲーム目は、白番のAbasovがカタランという定跡を選択。トップGMからアマチュアまで幅広い層において人気な定跡です。黒のキングへの集中砲火が止まらず、駒の損得はない局面ながら大差になり、チャンスをものにしたAbasovが勝利。2ゲーム目は、白のCaruanaが駒得し優位に立つも、黒にもドローチャンスがある展開に。アンバランスなエンドゲームにおいて、黒の疑問手を的確に咎めたCaruanaが土俵際で踏みとどまり、翌日のタイブレークに望みをつなげました。

 

・タイブレークの1ゲーム目は、黒のCaruanaが序盤早々に工夫を凝らし、前例のない複雑な展開に。白の駒が密集している隙を突き、ルークをサクリファイスするタクティクスを発見したCaruanaが華麗に勝利。2ゲーム目も確実な指し回しを見せたCaruanaが3位を勝ち取りました。

 

8/23 オープン準決勝、女子決勝・3位決定戦

8/19 1試合目

本日からOpenセクションでは準決勝が始まりました!

今大会最注目のCarlsen選手は白番を持ち、とても正確な指し手を要求される激しい試合となりました。優勢を築いたものの手放してしまい、難しい試合となりましたが、大胆な攻撃を行い、勝利を収めました。World cupで未だ優勝したことがないCarlsen選手にとって優勝に向けて勢いの増す一戦だったのではないでしょうか?

同様に前試合で記憶に残る激闘を繰り広げたPragg選手はCaruana選手と戦いましたが、お互い一歩も譲らず長い試合の末にドローとなりました。

一方で女子セクションでは本日から決勝が始まりました。勢いのあるAleksandra選手はGMノームを獲得したSalimova選手に白を持ちましたが、QGDでドローに終わりました。

 

 8/20 2試合目

まず、女子セクションでは3位決定戦が行われました。元女子世界チャンピオンのTan選手を前日に下したウクライナ出身のAnna Muzychuk選手が10手目辺りに築いた優勢を維持し本日無事にドローを収めて3位となりました。 決勝では両選手が本日最長の試合を繰り広げ、Salimova選手が勝ちの局面を築いたものの、優勝のプレッシャーからかエンドゲームでミスが出てしまい、ドローとなりました。

OpenセクションではCarlsen選手が初の決勝進出を決めた一方で、Pragg選手とCaruana選手の試合はドローで終わり、明日のタイブレークが楽しみな展開となりました!

 

8/21 タイブレーク

本日は女子セクションでは優勝者を決める試合が、そしてOpenセクションではPragg選手とCaruana選手の間で決勝進出の最後の1席をかけた激しい戦いが行われました。

女子セクションでは準決勝でTan選手を倒して勢いのあるAleksandra選手が決勝ではシーソーゲームの末に優勝を決めました。面白い試合なので、ぜひご覧ください!

OpenセクションではアメリカのCaruana選手とインドの若きスターであるPragg選手が最後の決勝の1席を掛けて激突しました。 両選手ともチャンスのある試合展開でしたが、最終的にはPragg選手が初の決勝への出場を決めました。

 

8/19 キャンディデイトをめぐる熾烈な戦い!

 

8/14 5回戦タイブレーク

【コラム:ワールドカップの戦術?】

ワールドカップの仕組み上、リスクを取りにいく場面が生じます。例えば、初戦で負けてしまうと、次戦はドローでは足りず、勝つしかありません。そのために、リスクが高い手を選んで勝負に出ることがあります。また、普段は使わないような激しい展開のオープニングを選択することもあります。このように、ワールドカップでは様々な勝負術を観ることができます。

 

【注目の一戦:Nepomniachtchi-Vidit戦】

Viditは28歳の選手で、レーティング2723(世界23位)。10代でGMとなったインドのエースの一人です。

両者譲らず、2回目のラピッドに突入。白番で負けて後がなくなったNepomniachtchiは、d4に対しf5とダッチ・ディフェンスを採用しました。この定跡は黒番でも攻撃力が高く人気ですが、トップクラスでは出現することが少ないオープニングです。オープニングの選択からも、勝負に出たと評価できるでしょう。黒から様々な攻撃手段が存在し、難解な局面が続きましたが、最終的にはViditが勝利。前回のワールドカップに続き準々決勝まで進出しました。

この結果により、ベスト8のうち4人はインドの選手が占めることになりました。

 

8/15-17 女子部門準決勝

 

【女子キャンディデイトへの道】

オープン部門と同様に、女子部門も女子世界チャンピオン戦につながる大会です。今回のワールドカップの上位3人は次回の女子キャンディデイトに参加することができます。

ロシアのGM Goryachkina Aleksandra、中国のGM Tan Zhongyi、ウクライナのGM Anna Muzychukの3人は、前回の女子ワールドカップでも準決勝に進出しています。

 

【Goryachkina-Tan戦】

女子世界チャンピオン戦経験者どうしの初戦は、映画の名前にもなったクイーンズ・ギャンビットという定跡になりました。エンドゲームで、疑問手をとがめたGoryachkinaが黒番で大きな勝利。続く2局目は早々とクイーン交換する展開から長いエンドゲームを経てドローに。Goryachkinaは前回のワールドカップに引き続き決勝進出です!

 

【Anna-Salimova戦】

IM Salimova Nurgyulはブルガリアの20歳の選手で、タクティカルな局面を得意とし、格上に次々と勝ってきました。彼女にとっては、GMノーム(※GMの称号を獲得するために必要な条件の一つ)を獲得できる可能性がある点でも、重要な戦いです。なお、現在、GMの称号を持つ女性は約40人います。

両者譲らずタイブレークに突入し、Salimovaが勝ち、直後にAnnaが勝ち、次のゲームは再びSalimovaが勝つという激戦に。再びカロカン定跡になり、勝たなければならない状況のAnnaが序盤から捨て駒を駆使してプレッシャーをかけるも、これに対して唯一の受けを発見したSalimovaが決勝に進みました!

 

女子決勝はGoryachkina-Salimova戦です。3位決定戦も行われます。

 

8/15-17 オープン部門準々決勝

【Carlsen Magnus-Gukesh D戦】

初戦は力戦調のゲームになり、双方が時間を使って工夫を凝らす展開へ。エンドゲームに突入し、駒の働きをより良くしようとしたGukeshの手が、実は疑問手でした。Carlsenは黒番で貴重な勝利をし、2戦目のドローを経て、貫録の準決勝進出です。

 

【Vidit Santosh Gujrathi-Abasov Nijat戦】

初戦は難解なエンドゲームになり、Viditが果敢に勝ちを狙うも、Abasovも対応を誤らず、ドローになりました。2戦目は、Abasovが近年トップGM間でも増えているロンドン・システムを採用。白は優位を徐々に拡大し、最後はViditが綺麗なチェックメイトになる投了図を選び、Abasovが勝利。

開催地アゼルバイジャンの選手であるAbasovは、ここまでにGiri(オランダ)などの強豪を破り、大躍進です。

 

【Caruana Fabiano-Dominguez Perez Leinier戦】

アメリカ選手どうしの対決。初戦は研究家として名高い黒のCaruanaが序盤から工夫を凝らします。Dominguezが優勢になったものの、Caruanaがエンドゲームでうまくイコアライズし、ドローに留めることに成功しました。マスターの棋譜では捨て駒のような技だけでなく、「スーパーセーブ」でドローにするテクニックにも目を惹きます。2戦目は、1ポーンアップながらドローになってもおかしくなさそうな局面をCaruanaが勝ち切りました。Caruanaは初の4強進出です。

 

【Erigaisi Arjun-Praggnanandhaa R戦】

インドの若手選手どうしの対決となり、タイブレークに突入。序盤から仕掛けたり、エンドゲームで勝負手を連発したり、ファイティング精神が伝わってくるゲームが続きました。双方が黒番で交互に勝ち続け、サドンデス(※3分+2秒で決着がつくまで続ける方式)に突入しました。Praggが白番を獲得しましたが、開始時間から30秒遅れてくるハプニングも。双方数秒の持ち時間の中で2ポーンアップとなったPraggが勝利。9ゲームにわたる白熱した戦いが終わりました。

 

オープン準決勝は、Carlsen-Abasov戦とCaruana-Praggnanandhaa戦です。

いよいよ長い大会のクライマックスが近づいてきました。どのような展開になるのか、楽しみですね!

 

8/15 FIDE World Cup Round 5

 

8/11

本日は第4回戦のTiebreakが行われました。

まず、Tiebreakまでもつれ込むことが珍しいCarlsen選手は難しい試合を乗り越え、何とか次のステージへの進出を果たしました。

一方で、本日は多くの世界中のチェスファンが驚きを与えた試合もありました。 なんとNakamura選手が前日に18歳の誕生日を迎えたインドのPragg選手に残念ながら一方的な内容で負けてしまいました。TiebreakのRapid2試合両方共で序盤からPragg選手が圧倒し、他の選手が難しい中盤を迎えているタイミングで一足早く勝負を決めました。

本日ついにBest16が出そろいました。誰が勝ち残るかわからない状況がさらに混沌とし始めました!

8/12

本日から第5回戦がスタートしました。 過酷なトーナメントであるからかハイレベルなトーナメントでは珍しく、本日は勝敗のつく試合が多い印象の一日でした。

World Cup初優勝を目指す前世界チャンピオンのCarlsen選手はウクライナ出身の有名なGMであるIvanchuk選手に対してStrategyの観点で見ごたえのある試合運びを進めて勝利を収めました。Openセクションでは他にインドのGukesh選手やArjun選手を含む5試合で勝敗が決しました。

一方で女子セクションでも2試合の勝敗が決しています。 今までのラウンドとは異なり、多くの選手が次の試合で勝つことが必要不可欠な状況が生じました。本日勝利した選手たちが勢いを維持して相手選手の猛追を振り切ることができるか、明日も見どころがいっぱいです!

8/13

驚くべきことにベスト8を決める本日の試合でOpenセクションでは1試合を除き、すべての試合で決着がつきました。

Carlsen選手の試合は白を持ったIvanchuk選手に対してRuy lopezで序盤が始まり、形成互角の状態でB fileにパスポーンのあるBishop Endingに突入しました。相手のブランダーを正確に咎めて、Nijat選手やNakamura選手を破って好調なPrag選手とともに2戦2勝でベスト8に進出を決めました。

女子セクションでは4試合のうち3試合で勝勢側が勝ちのチャンスを逃す面白い試合運びが見られました。 明日はベスト8を決める重要な試合が行われます。どのような結果に転ぶか分からない試合に注目です!

 

8/13

 

8/9

 

8/8のレストデーを終えいよいよ4回戦目が始まりましたが、今大会で最も衝撃的な出来事が起こりました!

前世界チャンピオンであり、世界で最高のレーティングを保有するCarlsenが黒星を喫したのです。Solidな盤面を作り形成が互角のエンドゲームに突入しましたが、36手目が悪手となりポーンを失ってそのまま負けてしまいました。

一方、NakamuraやCaruanaなどの他のSGMは1日目をドローで終わらせました。

翌日のCarlsen選手の結果に注目が集まりました! 

 

8/10 

4回戦目の2日目で最も注目されていたCarlsen選手は、無事に勝利を収めました。昨日の驚くべき黒星に続き、この日もミスをしてしまいましたが立ち直り、代名詞でもある抜群のエンドゲームのテクニックで勝ちました。

アメリカ勢に注目すると、Nakamura選手は昨日に引き続きドローで終わりましたが、Caruana選手は一足早くベスト16への進出を決めました。

その一方、驚くべきことにSo選手の敗退が決まってしまいました。 

トーナメントも佳境を迎え、翌日のTie-breakから目を離せません!

 

8/9 FIDE World Cup 第2ラウンド

 

8/5

World Cupもいよいよ3回戦目に突入しました。多くの選手が調子を上げているものの、そのレベルの高さから多くの試合がDrawで終わる過酷なトーナメントとなっています。

本日の注目の内容はSGMの一人であるDubov選手が白番で予期せぬ負けを喫したことでしょう。また、Carlsen選手の試合では大変興味深いEndgameが行われました。駒を自在に操って最終的には勝ちのPawn Endingへと転換させるCarlsen選手の能力には感動を覚えました! 明日の試合にも注目です!

8/6

Bakuの地でのプレッシャーが選手のプレーに大きな影響を与えているのでしょう。本日の結果でMVL選手やDubov選手の敗退が決まりました。 一方で、素晴らしいEndgameを1R目で披露したCarlsen選手は真っ先に4回戦目への出場を決めました。同様にNakamura選手も白番で気持ちよく勝利をおさめました。 明日はTiebreakが行われます。この段階まで来ると何が起こるか分かりません!

8/7

本日は多くのUpsetが見られました。

まず、Open SectionではGiri選手が5時間にも及ぶ激闘を繰り広げましたが、5分+3秒の早指しの2R目で致命的な間違いが出てしまい、残念ながら今大会から姿を消すこととなりました。同様に2019年に優勝を飾っており、今大会の開催国出身で大きな期待を背負っているRadjabov選手もRookとQueenのエンドゲームで誤った手を指してしまい、敗退しました。

次に今日の最も注目すべき内容は2021年の優勝者であるKosteniuk選手がTiebreakで敗退が決まったことでしょう。Rapidで2試合とも破れてしまい、Women Section一番の大番狂わせとなりました。 ついにベスト16がそろいました。明日以降も目が離せません!

 

8/6 Tuさんから届いたフォトレポート

 

Tuさんから送られてきた写真の第2弾をお送りします

 

トロフィールームの様子

トロフィーが飾られた真横でゲームを楽しんだり試合の配信を観ることができるスペースがあります

 

美しく輝くトロフィー

オープンのチャンピオンに手渡されるトロフィーでしょうか

キングを模したトロフィーには、会場のアゼルバイジャンがイスラム圏のためか頂点に十字架が見られません

 

クイーンの王冠はエキゾティックなデザイン

 

日本に縁があるトッププレーヤーとして過去に紹介した、GM Nakamura Hikaruと共に

 

開幕式のDrawing of Colorを行ったインドのレジェンドGM Anandとの1枚

Tuさんの、少年のように嬉しそうな顔が印象的です

 

8/5 FIDE World Cup 第2ラウンド

 

8/2 

World Cupの2回戦目が始まりました。日本代表のTuさんを破ったParavyan選手の活躍やシード選手として登録されているCarlsenやGiri、Hikaruなどの名だたる強豪プレーヤーの登場にいっそう目が離せません! 

まず、黒を持ったParavyan選手のゲームはGrunfeld Defenseで始まり、本日の結果はドローで終わりました。 

また、CarlsenなどのSGMに注目してみると完勝しているプレーヤーがいる一方、ドローや負けなどの番狂わせが見られ今後も注目です!

8/3 

この日は2回戦目の2局目が行われました。 Paravyan選手は白でチャンスを作るものの、前日に引き続きドローとなりました。Tuさんに勝ったプレーヤーとして、このまま勝ち進んで欲しいです! 

ここで大会を沸かせるSGMにも注目してみましょう! 

CarlsenやCaruanaが圧倒的な内容で完勝した一方、驚くべきことにShanklandの敗退が決まりました。また、GiriやHikaru、MVLはドローに終わり、このトーナメントの過酷さが伺えます。 

3回戦出場に向けて行われる翌日のTie-breakの結果が見逃せません! 

8/4 

3回戦進出をかけたTie-breakが行われました。 

Paravyan選手は残念ながら負けてしまい、World Cupの敗退が決まりました。 

また、日本につながりのあるSGMに目を向けてみると、GiriやMVL、Hikaruは無事に勝利して3回戦への進出を決めました。

今回のTie-breakではお互い一歩も譲らずに4試合連続で白熱した試合が行われるなど、このトーナメントは次第に実力の拮抗しているプレーヤーが当たるようになりました。

まだまだ続く、この過酷なトーナメントに期待です!

 

8/3 FIDE World Cup 第1ラウンド

 

7/30

前日の開会式を終えてついに大会が始まりました。

我らが応援する日本代表のTuさんは初戦から非常に見ごたえのあるゲームを展開してくれました。今大会に向けて用意したであろうTuさんの研究が見事にはまり、持ち時間や局面で圧倒的に有利な局面を築きました。しかしながら、時間が切迫している中でParavyan選手のGMとしての着実な差し回しや調子の良さから1R目は惜しくも引き分けとなりました。引き分けに終わりましたが、明日以降の試合も大いに期待できる勇敢な試合でした!

 

7/31

惜しくも引き分けとなった大会初日を経て、勝った方が次のラウンドに進む2日目のゲームではTuさんが黒を持ちます。

日本中のチェスファンが見守る中、両選手の高度な駆け引きを経てSicilian Kan Variationで試合は進みます。黒にとって序盤は少々難しい展開が続きましたが、Tuさんがe4のPawnを上手に用いて試合の流れが変わり始めました。中盤ではParavyan選手の消極的な差し回しを咎めるTuさんの攻撃的な展開でゲームは進みますが、終盤では残念ながら時間切迫の中で生じた1手の差が勝敗を決めてしまいました。

 

8/1

遂に世界の名だたる強豪である、Carlsen、Nepo、Hikaru等が8/2に戦いを開始します。これまでカールセンはワールドカップでの優勝経験がないため、彼のプレイは特に注目の的となります。

強豪プレイヤーたちはシード権を得ており、初戦に勝ちあがってきたプレイヤーと戦います。CarlsenはGM Pantsulaia, Levan (ジョージア)と、NepoはGM Asadli, Vugar (アゼルバイジャン)と、HikaruはGM Karthik Venkataraman (インド)と、それぞれ対戦します。また、Tuさんを破って勝ち上がったParavyan選手はGM Bluebaum, Matthias (ドイツ)と対戦します。

大会はまだまだ始まったばかりです。試合の様子は配信サイトで見ることができるので、ぜひ追いかけて下さい!

 

8/1 Tuさんから届いたフォトレポート

 

残念ながら敗退してしまったものの、7月30日の初戦ではレーティング2600+のGM相手にドローに持ち込んだTuさん。

出国からバクー到着、開会式までの写真が届きました。

7/27 出国

バクーの空港に着くとヘルプデスクが

宿泊するホテルに到着したのは翌午前3時

プレーヤーに配られる参加キット

会場があるMarriottホテルに視察に

試合の日には宿泊したホテルから会場までシャトルバスが出る

 

バクーのランドマーク「火焔タワー」を背景に

 

7/29 開会式当日

 

ベトナムのスターGM Le Quang Liemと

 

開幕式のDrawing of ColorはインドのレジェンドGM Anandが行った

 

開幕式後は会場を移動してテクニカルミーティング

出場国の国旗が並んだ場所で

 

試合前の意気込みと興奮を届けてくれたTuさん
日本初の重みを背負って出場したワールドカップでしたが、

強敵相手に最後まで健闘してくれました

 

7/30 様々な出場選手を紹介!その2

 

ワールドカップには、名だたるトッププレイヤーが参加しています。

今回は、その中からピックアップして3人を紹介します。

 

①GM Carlsen Magnus

ノルウェーの32歳の選手で、レーティング2835(世界1位)。現在のレーティングで2800を超えているのは彼のみで、2位以下を引き離しています。その上、10年以上2800台を維持しています。

世界チャンピオン戦を5度制したほか、4度のラピッドチャンピオンなど、数多くの大会で優勝。まさに時代を代表する選手の一人です。今年、世界チャンピオンの座を防衛しないことを発表し、注目を集めました。

王道の定跡から奇抜な定跡まで指しこなす上、エンドゲームの実力も抜群な、まさにオールマイティな選手です。なお、非常に強い選手である一方で、Giri AnishやPolgar Juditと公園チェスをするような一面もあります。

ワールドカップでは3位(2021年、2007年)が最高で、まだ優勝したことはありません。遂に優勝なるでしょうか!?

 

②GM Nepomniachtchi Ian

ロシアの選手で、レーティング2779(世界5位)。Carlsenとは同い年で、ユース時代から大会で競い合ってきました。チェスの強豪国であるロシアで、2010年に国内チャンピオンになって以降、世界トッププレイヤーとして戦い続けています。

近年では、キャンディデイトで2回連続優勝し、2021年と2023年の世界チャンピオン戦に出場しました。王座獲得はならなかったものの、既に次回のキャンディデイトの出場権も持っています。

意外にも、ワールドカップではまだ上位に入ったことがありません。実力を発揮して活躍なるでしょうか!?

 

③GM Ivanchuk Vasyl

Ivanchukの参加が決定しました!

ウクライナの選手で、レーティング2667(世界73位)。レーティングは最高で世界2位まで到達しました。1969年生まれで、ラピッドチャンピオンやキャンディデイト出場経験もあるレジェンド選手の一人。ワールドカップでは2011年に3位を記録しています。

才気あふれる選手として知られており、元世界チャンピオンのKasparovは、世界チャンピオンに匹敵する実力があると彼を評価しています。

彼の代表的なゲームでは、クイーンをサクリファイスするなどの派手な応酬が目を惹きます。今回は出場が危ぶまれていたものの、参加できるようです。どのようなゲームが繰り広げられるか、活躍に注目です!

 

大会期間中も、Tuさんに関する内容のほか、注目の選手やゲームを紹介する予定です。

“#TuWIN”のハッシュタグでTuさんの応援をTwitterでしつつ、今後もこの特設ページをご覧いただければ幸いです!

 

7/25 ワールドカップの中継・解説

 

【開始時間は?】

日本時間20時(現地時間15時)に開始予定です。

前夜祭を含めた全体のスケジュールについては、以下のリンクをご覧ください。
worldcup2023.fide.com/schedule

 

【ゲームはどうやって観る?】

Chess.comでは、リアルタイムでのゲーム中継があります。前回大会と同じであれば、1回戦からすべてのゲームが中継され、Tuさんのゲームもチェックできるはずです。自分で盤面を動かして、検討することも可能です。

 

FIDE World Cup Open 2023 – すべての情報 – Chess.com

【英語での解説】

Chess.comやChess24などのYouTubeチャンネルでは、英語での実況解説があります。時折、会場の様子も映し出されます。英語を聞くのが大変な方も多いと思いますが、解説手順を見るだけでも勉強になります。興味がある方はチェックしてみてください。

 

なお、普段は解説を担当することも多いGM Svidler Peter(2011年の優勝者!)やGM Howell David W Lも、選手として参加しています。彼らの活躍にも注目です。

 

【日本語での解説】

日本チェス連盟公式YouTubeチャンネルにおいて、Tuさんのゲームを実況解説します!

上記のChess.com等と異なる点は、①日本語で解説する点、②Tuさんのゲームを中心とする点です。みんなでTuさんを応援しましょう!

解説者も豪華かも!?詳細は、本ホームページやツイッターで、追って発表予定です。

 

7/22 過去の優勝者・日本選手の歩みなど

 

【前回の優勝者など】

ワールドカップが現在のようなトーナメント方式になって以降、いまだに連覇を果たした選手はいません。前回大会で優勝したDuda(ポーランド、レーティング世界20位)は、連覇することができるでしょうか。
今大会には、他にもワールドカップ優勝経験者が出場しています。ぜひ探してみてください!

一方、数多くの大会で活躍してきた前世界チャンピオンのCarlsen(ノルウェー、レーティング世界1位)は、ワールドカップでは優勝したことがありません。前回大会ではDudaに準決勝で敗れています。今回、念願の優勝となるでしょうか。

 

【世界チャンピオン決定戦とワールドカップとの関係】

先日、Ding Liren(中国)が新たな世界チャンピオンになりました。次の挑戦者を決める戦いは既に始まっています。

世界チャンピオンへの挑戦権は、「キャンディデイト」というリーグ戦の優勝者に与えられます。このリーグ戦に参加できるのは、8名の選手のみです。そして、今回のワールドカップの上位3名は、来年開催予定の「キャンディデイト」に参加することができます。ワールドカップへの参加は、世界チャンピオンに繋がる道の一つなのです。

 

【日本選手の歩み】

上記の「キャンディデイト」に繋がる大会に日本選手が挑戦するのは、西村裕之さんがゾーナル・トーナメントに出場した1995年以来のようです。Tuさんの今大会での挑戦は、28年ぶりの快挙です!

 

 

7/19 様々な出場選手を紹介!

 

【出場選手が多い国は?】

開催国であるアゼルバイジャンから13人の選手が出場しており、最多出場国です。アゼルバイジャンは、Radjabov(世界12位、2019年ワールドカップ優勝)やMamedyarov(世界14位)を筆頭とする強豪選手が多い国の一つです。

加えて、アメリカ・ロシア・インドからは、各10人以上の選手が出場しています。

 

【日本にゆかりのある選手】

今大会には、日本にゆかりのある名選手も出場しています。Tuさんの応援をしつつ、チェス界のスーパースターをチェックするのはいかがでしょうか!

 

①GM Giri Anish(オランダ)

彼は幼少期に北海道に住んでいました。現在レーティング世界7位です。今年行われたタタ・スチール・チェストーナメント*において、当時の世界チャンピオンであったCarlsen(ノルウェー)や今年新たに世界チャンピオンとなったDing(中国)に勝ち、優勝しました。


*Tata Steel Chess Tournament
毎年1月にオランダで開催される、伝統的な大会の一つ。約2週間にわたり、総当たりのリーグ戦を行う。大規模な大会で、クラス分けがされている(最上位クラスはマスターズ)。

 

最近では、日本のトッププレイヤー3人(IM 小島慎也、FM 青嶋 未来、CM Tran Thanh Tu)とオンラインで同時対局をしました。以下のリンクからその様子を見ることができます。

<配信アーカイブ>

・対局 https://www.youtube.com/live/xclBVJL4Ros?feature=share

・Giriによる解説 https://youtu.be/PtlcviZI-_M

 

②GM Nakamura Hikaru(アメリカ)

大阪の枚方生まれ。幼い頃にアメリカに移り住んだ後、世界で活躍する選手になりました。約15年前に日本の公式戦にも出場したことがあります(当時のジャパンリーグ優勝)。彼のSNSによると、以降も何度か来日しているようです。

現在レーティング世界2位まで上昇し、自己最高ランクに並んでいます。加えて、ロゴに「光」の漢字を用いたチェスYoutuberとしても活躍しており、達人技のブリッツや表情豊かな解説で視聴者を楽しませています。

 

③GM Vachier-Lagrave Maxime(フランス)

「MVL」の愛称で親しまれています。現在レーティング世界12位。ワールドカップでは2013年と2019年に3位の成績を残しています。
2012年に来日した際、東京スカイツリー内の一室で、FM 羽生善治及び森内俊之と同時対局をしました。加えて、神戸ではFM 羽生善治とチェス&将棋の二面勝負も行われました(チェスはMVL勝ち、将棋は羽生勝ち)。

 

7/16 Tuさんの対戦相手はGM Paravyan Davidに決定!

 

【どんな選手?】

ロシアの25歳のグランドマスターで、現在のレーティングは2612(世界163位)。レーティングにおいては、Tuさんよりも約200点高い選手です。10代でGM*の称号を獲得した上、ジュニアランキング世界トップ10に入ったこともあります。


*GM
FIDEがプレーヤーの成績に応じて授与する称号で、Grandmasterの略。

世界チャンピオンを除けば、プレイヤーが獲得できる最高の称号。

 

【代表的な戦績】

彼が特に注目を浴びたのは、2020年のジブラルタル・インターナショナル・チェスフェスティバル*という大会です。参加者が250人という大規模な大会だった上、SGM**が7名参加する超ハイレベルな戦いでしたが、彼らを押しのけて優勝しました。

 

加えて、前回のワールドカップ(2021年)にも出場しています。3回戦で敗れたものの、元世界2位の選手をあと一歩のところまで追い詰めました。その後、レーティングは世界78位まで上昇し、自己ベストを更新しました。

 

*上記の大会の様子

David Paravyan wins Gibraltar Masters (fide.com)

 

**SGM

レーティング2700を超えるプレイヤーをスーパーグランドマスターと呼ぶことがあり、その略。GMと異なり、正式な称号ではない。

 

とても手ごわい相手ですが、白熱した戦いになるはずです。

みなさんもTuさんのゲームや大会の様子をぜひチェックしてみてください!

 

7/13 日本代表選手Tran Thanh Tuさんのこれまでの活躍を紹介します!

 

【ユース時代の活躍】

全ベトナムユース選手権において4年連続で優勝するなど、出身国であるベトナムの大会で幅広く活躍していました。加えて、東南アジアユース選手権やアジア学生選手権といった国際大会においても優勝経験があり、ベトナム国内にとどまらない実績もあります。

 

【日本での活躍等】

全日本チェス選手権で3度優勝しているほか、先月に行われた全日本ラピッドチェス選手権では、昨年に引き続き連覇を果たしました。Tuさんは、持ち時間の長短を問わず高いパフォーマンスを発揮する選手です。

加えて、昨年のオリンピアードに日本代表として出場した際も、日本チームに貢献するとともに、GM(グランドマスター)に引けを取らない実力があることを示しました。

 

ワールドカップは世界最高峰レベルの大会です。Tuさんが実力を発揮できることを祈りつつ、どのようなゲームになるのか注目していきましょう!

 

【主な戦績】

〔Youth〕

・東南アジアユース選手権:スタンダード・ラピッド・ブリッツで優勝計9回 (2006, 2007, 2008, 2009, 2010)

・アジア学生選手権:U15優勝 (2005) 他

〔Open〕

・全日本チェス選手権:優勝3回 (2016, 2018, 2020)

・オンラインチェスオリンピアード:日本代表2回 (2020, 2021)

・Asian Online Nations Cup:日本代表 (2020)

・チェスオリンピアード:日本代表 (2022) 他

 

(ワールドカップについて、Tuさんについての詳細情報はこちら→リンク

TuさんのRound 1の対戦の配信リンクはこちら→リンク

 

FIDEワールドカップ2023公式PV